Choueke Family Residence

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もう1つのラブストーリー

セルジオは父親に「日本でビジネスを学ぶために」日本に送られた、もう1人の若い男性です。セルジオは上品で教養豊か、そして数字に明るく、しかもポルトガル語、フランス語、イタリア語、アラビア語を自由にあやつりました。イギリスの寄宿学校で学んだため、英語は殆ど完璧でした。セルジオはその当時、アメリカの大学に留学していたシュウエケ家の若い娘、シモーヌと似合いのカップルであると皆から思われていました。その為、彼が気持よく過ごすことができるよう、お金を惜しむことはありませんでした。家政婦も含め、誰もがセルジオの言うことをきき、彼が訪問した時に心地よく過ごせるよう指示されました。家にいた男の子達も、自分達が叱られないことが何か分かれば、正しい行いができ、若い客にいたずら等をしたりしませんでした。セルジオはこの計画にうまく適応し、大阪のオフィス、工場や外でランチをとり、家でディナーを楽しみました。ディナーでの会話はいつも陽気で、セルジオはウイットに富み、話題も豊富で、男の子達は特に彼のイギリスでの学校生活について聞くのが好きでした。彼は洗練された青年でした。ディナーの後、セルジオは外に出て神戸での夜の社交を楽しんでいました。これは普通のことで、何も疑われることはありませんでした。結局のところ、知らないといけないことは、全て忠実で有能な家政婦が教えてくれました。ある日、ませさんがセルジオが近いうちにここを出ていくと伝えにきました。


「どうしてそれを知っている?」 シュウエケ氏は尋ねました。


「彼が水曜日までに洗濯をして、シャツにアイロンをかけ、スーツをクリーニングから持って帰ってほしいと言ったのです。」

 

シュウエケ氏は、セルジオの部屋に行き、ドアにさりげなくノックしました。セルジオは彼を中に招き入れました。 「セルジオ、君がここを出ていくかもしれないと聞いたのだが。」


「はい。それは本当です。」


「何故そんなに早くに。神戸には2週間もいなかったのに。」


「シュウエケさんと家族は、本当に親切にして下さいました。でも私には、結構長く感じる時間でした。」


「どうしたのですか?何か問題でもあるのですか?」


「ええ。実を言うと、非常に困ったことがあるのです。」


「そのことについて話してくれないか?それともプライベートなことなのか?」


「プライベートなことですが、あなたに知っていただいても構いません。私が夜、街に出かける時に非常に美しい女の人に会い、その人に夢中になり、彼女に恋をしてしまったのです。」


「それで何が問題なのですか?」 シュウエケ氏は尋ねました。


「本当は何もないのですが、私の理想の女性が実は女ではなく、男だったのです!」


人扱いの上手なシュウエケ氏はこう彼に言いました。「それは何も難しい問題ではありません。他の人を探してはどうですか?」この様な場合、シュウエケ氏がいつも使う手法でした。


「シュウエケさん、分かってないようですね。みゆきは完璧だったのです。彼女は美しく、チャーミングで、どの国で合ったどの女の人とも同じくらい、いやそれ以上でした。でも・・・」


「男なのですね。」


「まさしくそうなのです。」


「この点についてあなたと言い争うことはできないが、恐らく、ここを出ていくことはそんなに悪い考えではないかもしれない。準備ができたら、運転手に空港まで乗せていくよう伝えておくから。」

 

その後まもなく、セルジオはブラジルに旅立ちました。その頃、ブラジルへの旅は飛行機でも長くかかりました。先ず伊丹から羽田に行き、そこから日本を飛び立ち、ウェーク島、ホノルル、サンフランシスコ、マイアミ、パナマ市を経て、やっとサンパウロに到着するのです。その後、セルジオが神戸に戻ることはありませんでした。また、みゆきさんも家まで来て、彼を探すことはありませんでした。これは、随分昔の話です。神戸は面白い所ですかと聞かれると、答えは「イエス」です。勿論、神戸も変わりはしましたが、少し表面を削ぎ取ると、沢山興味深い話が湧き出てきます。セルジオとシモーヌは結婚こそしませんでしたが、今日もその友情は続いています。勿論のこと、みゆきとの恋愛関係は、その後話に出たことはありません。

 

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